オセアニア島しょ国のなかでも、埋蔵資源が乏しく国土が狭いポリネシアおよびミクロネシアの島しょ国は、現在その経済を維持するために欧米の旧植民地宗主国や日中台などのアジア諸国からの経済援助に大きく依存している。他方で、海外出稼ぎ移住者による海外送金にも大きく依存するようになっている。経済発展も進まず、安定した雇用は公務員・教員・警察官などに限られている。そうしたことから移民(MIgration)、海外送金(Remittance)、海外援助(Aid)、公務員(Bureaucracy)に依存している国家が多く、以上の頭文字を続けてMIRAB国家という。海外援助や海外送金に依存する国家イメージは否定的に扱われることが多いが、海外出稼ぎ・留学により資本主義的経営や民主主義を学んで帰国したものが、MIRAB国家の民主化や経済発展を促進する場合もある。トンガ民主化運動がその一例である。日本としては、オセアニアから移住労働者を受け入れることも視野に入れ、多文化共生の取り組みを真剣に考える必要がでてくる。