2011年1月初頭、大陸北部のクイーンズランド州東南部の州都ブリスベンと近郊一帯を襲った大洪水。オーストラリアは、干ばつに苦しむ乾燥大陸だと思っている日本人には信じがたいが、前年末に同州中南部で降った大雨の影響で、ブリスベンから内陸にかけてフランスとドイツ両国を合わせた広さに匹敵する地域が浸水被害を受けた。ブリスベン郊外では氾濫にともない鉄砲水が発生し、10人ほどの死亡が確認され70~80人が行方不明となった。州都を流れるブリスベン川の水位も1974年の洪水時より上昇し、避難勧告が一帯に出された。約20万人が避難したが、避難地域の水位が下がるには1カ月かかった。郊外から内陸にかけては農場、牧場、鉱山も多く被害を受けた。予想被害額は50億豪ドル(4100億円)と見積もられた。なお、2月には、前年の9月にニューサウスウェールズ(NSW)州の山地に降った大雨が、マレー川の覆水として同州北部に流れ込み、突如、ビクトリア州北部のマレー川流域一帯で地表面まで上昇し、広範にわたり浸水被害をもたらした。同地域の水位低下に1カ月必要だった。オーストラリアでは干ばつ、豪雨、大型台風(サイクロン)の襲来など、世界的な異常気象の影響を受け、環境対策が叫ばれている。ギラード首相による炭素税導入のきっかけとなった。