オーストラリア政府が進める、次期潜水艦の建造計画。2015年5月18日、安倍晋三政権は海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」型(基準排水量 2900トン、満載時4200トン)をベースとした技術供与の方針を固め、潜水艦共同開発国の選定手続きへの参加を決めた。5月初旬にオーストラリア政府が中谷元防衛大臣に対し、日本の参加を正式要請したことへの対応である。オーストラリアは大陸防衛強化のため、30年代までに現行のコリンズ型潜水艦の更新を検討しており、日本の潜水艦技術に関心を示している。正式に選定すれば、13年4月に撤廃された武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」に基づいた、初の兵器本体の技術供与となる。また、14年11月にブリスベンで開かれた日米豪3カ国首脳会談の中で確認された、中国の海洋進出を念頭に「安全保障・防衛面の協力を深化させる」方針への対応でもある。しかし、15年9月に発足したマルコム・ターンブル政権は、現地での潜水艦建造を公約しているフランスやドイツも、有力候補として注目しているとされる。