日本政府とオーストラリア政府間の、経済的連携に関する取り決め。2014年7月8日、7年ごしの交渉を経て締結された。安倍晋三首相は署名に際し、両国を「特別な戦略的パートナーシップ」と位置づけ、日豪EPAの「歴史的意義」を強調した。発効は15年1月。主な内容として、日本は(1)コメの関税は維持、(2)食糧用小麦は将来の見直しを前提に現行を維持、(3)飼料用小麦は食糧用への横流し防止を講じたうえで民間移行して無税化、(4)冷凍牛肉は18年目に19.5%(現行38.5%)まで段階的に減税、(5)オーストラリア産ワインは7年目に無税化、などとしている。それらに対してオーストラリアは、日本製中小型ガソリン車の関税5%を即時撤廃などとしている。農業大国と結ぶ初のEPAに日本の農家の不安は強く、締結に時間がかかったが、オーストラリア産牛肉やワイン、チーズなどが安くなるので小売店や外食産業は歓迎を表明。オーストラリアへの自動車輸出量も増える可能性があるが、14年2月、現地のトヨタ自動車は自由貿易協定(FTA)やEPAの拡大によって不利となるオーストラリア国内での自動車組み立てからの撤退を決めた。同様にアメリカのGMやフォードも撤退を決めており、EPA締結にともなう痛みはオーストラリアも感じている。日本政府は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の鍵を握るアメリカとの交渉を牽制(けんせい)するうえで、日豪EPAの締結は重要だとしている。