2012年にギラード政権が設立した「児童性虐待問題への団体の対応に関する特別調査委員会」が、国内児童性虐待事件の大多数を起こしながら、長年にわたって事件を隠蔽していたカソリック教会組織に厳しい判断を下した問題。同委員会は第2次世界大戦以後の数万人におよぶ児童性虐待被害者や関係者の証言聴取を終え、17年12月に膨大な量の報告書を公開した。報告書では「性虐待を受けた児童の数は何万人にものぼり、虐待が決して一部の人々の出来心の問題ではない」との判断を下し、カソリックの独身主義に問題の根があるとして改善を求めた。また、189項目におよぶ広範な勧告案も盛り込まれ、とくにカソリック教会組織に対しては、(1)犯罪の事実を告白で知った場合、聖職者はその情報を警察に届け出なければならないこと、(2)組織や団体などに児童の保護を刑法で義務づけること、(3)新たに連邦レベルの児童安全問題局を設立し、団体や組織の児童虐待などを監視すること、(4)聖職者の独身義務を任意にすること、などとしている。オーストラリアのカソリック教会は反発しているが、ローマ法王は報告書に真摯に対応するよう求めている。