カナダの連邦制はイギリス型の議院内閣制と立憲君主制、そしてアメリカ型の連邦制を組み合わせたユニークな制度といわれている。アメリカ型というのは、連邦と州という二つの異なるレベルの政府を設定し、憲法の規定により、それぞれの守備範囲を明確に定めていることによる。他方、カナダがイギリスの植民地として発展してきた歴史的経緯もあり、国家元首はイギリス女王であり、イギリス式の統治原理がカナダにも導入されている。連邦下院における第1党の党首が首相となる議院内閣制も定着している。カナダにおけるイギリス君主の代理として総督(→「総督制」)が置かれ、各州政府に副総督が置かれている。1867年のカナダ連邦の結成とともに「英領北アメリカ法」が憲法として機能してきたが、不足する点などを補う憲法として1982年憲法が制定された。現在、10の州と三つの準州から構成され、人口は約3000万人、面積は997.1万平方キロ(日本の27倍)。2005年9月に着任した総督は、ハイチ難民出身の女性ジャーナリストのM.ジャンであった。その後、10年10月には第28代となる新しい総督として、オンタリオ州にある大学の学者、D.ジョンストンが任命された。