オバマ大統領は2009年4月5日、チェコの首都プラハで行った演説で「核のない世界」を目標に掲げた核軍縮・不拡散に関する包括的戦略を発表した。大統領は、核兵器を「冷戦時代の最も危険な遺産」と位置づけ、地球規模の核戦争の脅威はなくなったものの、テロ組織などによる「核攻撃の可能性は高まった」と警告。核軍縮を推進する、核拡散防止条約(NPT)を強化する、テロリストから核兵器と核物質を守る、の3本柱から成る包括的戦略を打ち出した。オバマ大統領は演説で「核兵器を使用した世界で唯一の核保有国としてアメリカは(核廃絶に向けて)行動する道義的責任がある」と表明した。オバマ大統領は同年12月、「核兵器のない世界に向けた構想と努力に特別な重要性がある」としてノーベル平和賞を受賞した。10年4月には米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)調印にこぎつけた。オバマ大統領は13年6月19日、ドイツの首都ベルリンのブランデンブルク門前で演説し「核兵器がある限り私たちは真に安全を得られない」「どんなに遠い夢だとしても核のない世界を目指す」と強調、新STARTで定めた配備済み戦略核弾頭の上限からさらに3分の1減らし、将来的に1000発程度に落とす交渉をロシアに提案し、自らが提唱する「核のない世界」実現に向けた取り組みを国際社会に改めて示した。