アメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げた無人火星探査機「キュリオシティー(Curiosity ; 好奇心)」が2012年8月5日、火星に着陸した。約2年かけて生命が存在した証拠となり得るアミノ酸などの有機化合物を見つけ出す計画で、火星の「水」や「生命体」の解明が期待されている。NASAの火星探査機の着陸は1976年の「バイキング1号」以降7回目。オバマ大統領は「アメリカは今夜、火星で歴史を作った」との声明を出した。キュリオシティーは、火星に大量の水が存在した直接の証拠となる太古の川床の跡を発見したほか、採取した岩石をNASAが分析した結果、生命を構成する6元素の硫黄、窒素、水素、酸素、リン、炭素が検出されたことから「数十億年前の火星には、水にあふれ微生物などの生命が存在できる環境があった」ことなどがわかった。キュリオシティーによる探査計画は、30年代半ばまでに有人火星探査を実現させる計画の第一歩で、25億ドルの開発費が投じられた。NASAは13年11月18日、無人火星探査機「メイブン(MAVEN ; Mars Atmosphere and Volatile Evolution)」を打ち上げた。14年9月に火星に到達し、火星を取り巻く大気を観測している。有人火星飛行に向けて飛行士の活動環境や有望な着陸候補地を探る狙いもある。(→「新宇宙政策」)