2006年12月に成立したメキシコの現政権。同年7月の大統領選挙では保守派の国民行動党(PAN)のカルデロン、中道左派民主革命党(FDR)のロペス・オブラドール(前メキシコ市長)、制度的革命党(PRI)のマドラソが立候補し、カルデロンがコンマ以下の小差で勝利した。オブラドール派は選挙の集計に疑義を呈し、全票の数え直しを要求したが、同年12月に選挙裁判所がカルデロンの当選を発表、政権が発足した。メキシコではメキシコ革命(1910~17年)の流れをくむPRI(29年に民族革命党として成立し、33年にメキシコ革命党と改名、46年に現在の名称になった)が71年間にわたり政権を握ってきたが、2000年にPANのフォックス政権が誕生し、PRI支配に終止符が打たれた。カルデロン政権はPANの2代目の政権となる。1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)発足とともに、輸出拡大や経済成長が続いてきたメキシコだが、その一方で地域・階層間の格差拡大、高い失業率、治安の悪化などが深刻化している。これに対しカルデロン政権は年金改革、メキシコ石油公社(PEMEX)への外資導入など民営化政策をいっそう推進している。そのため国民の反発は強まり、世界同時不況の影響による経済情勢の悪化もあいまって、09年7月の連邦議会下院選挙では与党PANは大幅に得票率を減らし(28%、143議席)、PRIが躍進して第1党となった(37%、237議席)。一方、PDRは得票率12%、71議席と振るわなかった。大統領の任期は6年で、再選はない。次期大統領選挙は12年7月1日の予定。