ボリビアのモラレス大統領は2006年5月、石油天然ガス国有化に関する政令第28071号を公布した。外国企業を排除するのではなく、開発や生産などに対する国の主導権回復を目指したものとなっている。同法の主な内容は、(1)国家は炭化水素資源の所有、保有、および全面的コントロールを回復する、(2)国内で操業する石油・天然ガス企業はすべての生産物をボリビア石油公社(YPFB)へ引き渡す、(3)石油・天然ガスの取引・生産・工業化等に関する条件はYPFBが決定する、(4)YPFBは石油関連企業の株式の51%を所有する、(5)外国企業と国の利益配分率は生産量に基づき規定する、などである。影響を受ける外国企業12社(スペインのレプソル、フランスのトタル、イギリスのブリティッシュ・ガスとBP、ブラジルの石油公社ペトロブラスなど)との交渉は、すべて06年11月までに終了した。ボリビアの天然ガスは南米第2の埋蔵量を誇る。また、電気自動車用電池等に使われるリチウムもボリビア南部のウユニ塩湖を中心に開発されており、確認埋蔵量は世界の総量の約半分の540万トンで、第1位。09年に制定された新憲法では天然資源は中央政府の独占的権限であることが規定されており、今後、その他の戦略産業も含め、国家による規制が強化されることが予想される。