アルゼンチンの現政権党。1946~55年に政権を担当した軍人政治家フアン・ドミンゴ・ペロンが創立した政党で、正式名称は正義党(Partido Justicialista スペイン)。ペロン党とも呼ばれる。ペロンは社会正義の名のもとに労働者の利益を擁護し、工業化を推進することにより、一次産品輸出経済からの脱却を目指したが、55年の軍事クーデターにより失脚した。スペインへの亡命後も労働総同盟(CGT)を支持基盤として隠然たる勢力を保ち、国民の支持も高かった。73年には秘書のカンポラが大統領に当選するが、ペロン政権実現のため就任後数カ月で辞任。帰国を果たしたペロンが直後の大統領選挙で当選し、73年7月に大統領に就任した。しかし、74年4月に病死したため、妻のイサベル・ペロンが昇格した。これらの3政権はペロニスタ政権と呼ばれている。イサベルは76年にクーデターで追放され、軍事支配時代が始まった。ペロンの亡命中には社会主義的傾向を強めた左派が台頭し、内部対立が激化したが、83年の民政移管後はネオリベラリズム派が勢力を伸ばし、89年には同派のメネム政権が成立した。その後2003年に、中道左派のキルチネルが党内の多数の支持を得て大統領に当選。さらに08年にはキルチネル夫人のフェルナンデスが大統領になり、ペロン政権を継承している。