キューバで盛んな都市有機農業形態の一つ。社会主義圏消滅によって輸入に大幅に依存していた食料が不足したため、政府は1994年に都市農業全国計画を発足させ、食料自給化のために都市農業や近郊農業を推進した。そのうち「集約的菜園」(huerto intensivo スペイン)と並び中心的形態となったのがオルガノポニコである。土のないガレージや工場跡地など、あるいは土が耕作に適しない土地に、コンクリート、廃材、発泡スチロール等さまざまな素材を用いて囲いをつくり、土や堆肥(たいひ)を入れて、野菜、薬用植物、香辛料などを栽培する。物資不足のためにガソリンも肥料も農機具も不足するなかで、キューバの特技であるバイオテクノロジーなどの科学技術を活用して有機または半有機農法をとった。語源は水耕法(hidropnico スペイン)をもじったもの。こうした努力により経済危機が最も深刻だった94~95年にも1人当たり1日平均1800キロカロリーの栄養を確保した。しかし、キューバは現在でも食料の80%を輸入に依存しており、食料自給化には程遠い。そのため、2011年の第6回共産党大会では農業生産の活性化が最大の課題の一つとされた。