中米ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)書記長ダニエル・オルテガを首班とする政権。2007年1月に成立し、11年11月の選挙でも再選を果たした(得票率64%、12年1月就任)。オルテガは1979年の反ソモサ独裁革命(ニカラグア革命)成功とともに統治評議会(臨時政府)メンバーとなり、80年4月にビオレタ・チャモロら保守派が同評議会を辞任してからは事実上の臨時政府最高指導者となった。85年の選挙で大統領に就任するが、アメリカの支援する反革命勢力(コントラ)との内戦で経済が疲弊し、90年の選挙で全国野党連合の候補ビオレタ・チャモロに敗れた。その後、保守政権が続き、国際通貨基金(IMF)指導の緊縮財政政策や経済自由化政策により経済は一層悪化し、失業率は半失業率も含め約50%に達するなど、中南米の最貧国の一つとなった。2007年の第2次オルテガ政権発足は革命政権の復活として政策転換が期待されたが、IMFとの構造調整計画の3年間延長を決定するなど歴代の保守政権の政策を踏襲した。さらに夫人のロサリオ・ムリジョが経済社会計画評議会執行長官など多くの役職に就き広範な権力を手中にしたため、「大統領夫妻による権力独占」という批判が高まった。その一方で、ベネズエラやキューバなどの援助を得て、教育や医療の無償制度、農民からの食糧の買い上げ価格の公正化(ENABAS)、飢餓ゼロ計画(農村の女性を協同組合に組織して小規模な資金援助や家畜や種苗などの供与等によって、女性の経済的自立を助け、同時に食糧の確保を図る)などの政策を実施し、それが11年の再選につながった。