2010年1月12日午後4時53分(現地時間)、カリブ海のハイチ共和国で起きたマグニチュード7の地震。震源地は首都ポルトープランスの南西約15キロ。震源の深さは約13キロ。死者はハイチ政府の発表でおよそ23万人。首都中心部の公共施設も含め多くの建物が倒壊し、家を失った者は150万人以上とされる。なお、ハイチの総人口は1008万9000人(10年推定)。被害が大きかったのは「世界の最貧国」といわれるハイチの貧しさと、震源地が首都圏だったことが大きい。対米貿易の自由化の進行により唯一の主要産業であった米作が衰退したために、多くの農民が首都に流入し、スラム街が拡大していたためである。復興は遅れ、11年末現在、およそ65万人の市民がいまだに避難所のテント村や路上で生活している。10年9月半ばにはコレラが広がり、死亡者は5300人、感染者は約32万1000人に上った。再建が進まないために、11年のハリケーン・トーマス(レベル1)襲来により7人が死亡するなど、小規模な自然災害での被害も大きい。