中米エルサルバドルの、ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)のマウリシオ・フネス・カルタヘナ大統領を首班とする政権。2009年3月の選挙で51.32%を得票し、極右政党の民族共和同盟(ARENA)のロドリゴ・アビラ候補(48.68%)を破り当選した(同年6月就任)。これにより、1989年以来20年間にわたるARENA政権時代に終止符が打たれた。FMLNは内戦中(70年代末~92年)の80年10月に4つのゲリラ組織が合同して成立したゲリラ統一戦線である。91年1月の和平協定調印後に政党に転換し、94年の総選挙以来、最大野党の地位を維持してきた。フネス政権の当面の最大の課題は内戦の後遺症である極度の政治対立の解消と、内戦により破壊され、世界同時不況で悪化した経済の再建にある。フネス大統領はジャーナリスト出身であり、広範な国民の支持を得られる候補者としてFMLNにより大統領候補に指名された。就任後は経済再建を最優先課題に据え、財界との協調姿勢をとり、貧困問題は社会支出の拡大で解決する政策をとっている。そのため、支持母体のFMLNからの批判が高まっている。