エクアドル東部のヤスニ国立公園ITT地区(イシュピンゴ・タンボコチャ・ティプティニ)の熱帯雨林保護計画。ここは世界でも最も生物多様性に富んでいる地区の一つといわれる。シュアル族などの先住民の居住区でもある。石油資源も豊富で、推定埋蔵量は8億4600万バレル、同国全体の20%に相当する。この保護計画は2007年にエクアドルのコレア大統領が提案し、10年8月にエクアドル政府と国連開発計画(UNDP)の間で信託基金設立協定が締結された。内容は、開発により得られる石油収入(10年9月国際価格)の半分(36億ドル)を国際社会が負担すればエクアドルは永久に石油開発を放棄するというもの。そのための資金は各国政府や民間から募り、エクアドル政府、国連開発計画、市民代表によって構成される理事会の管理のもとに、アマゾンの自然保護、自然エネルギーの利用、先住民保護などに充てられる。期間は12年間。しかし、期限終了後、エクアドル政府の方針が変化すれば開発が始まる可能性もある。この計画はまた、ITT地区に限られる。アマゾン地帯は石油資源の宝庫であり、他の地区では石油開発を国家の優先課題として推進するコレア政権と、自然との共存を訴え、開発に反対する先住民との対立が激化している。