ディルマ・バナ・ルセフ大統領を首班とするブラジルの現政権。ルセフは2010年10月の大統領選挙で与党労働者党候補として56%の得票で当選し、11年1月に就任した。ブラジル初の女性大統領である。軍政下(1964~85年)で反政府ゲリラに加わり、投獄・拷問された経験をもつ。86年にポルト・アレグレ市の財務長官を務めたのを皮切りに州政府の重職を歴任し、その後、ルラ政権でエネルギー鉱山相、官房長官などを歴任した。選挙戦ではルラ大統領の後継者としてキャンペーンを繰り広げ、前政権の政策を継承するとしているが、ルセフ政権発足とともにEUの経済危機等による世界経済低迷の影響で経済成長に陰りが見え始めている。そのため、財政の悪化が予測されるなかで、経済成長の維持と社会政策の実施を、いかにバランスをとっていくかが課題となる。