2012年7月1日に行われたメキシコ大統領・議会選挙において、かつてこの国を70年余り支配した制度的革命党(PRI)と緑の環境党との統一候補エンリケ・ペニャニエトが勝利した。この選挙では、同候補のほか、当時与党の国民行動党(PAN)のホセフィナ・バスケスモタ前連邦下院PAN会派長、革命民主党(PRD)と左派系諸派の統一候補アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドル元大統領候補、そして、新同盟党のガブリエル・クアドリ・デ・ラ・トーレが立候補した。結果、ペニャニエトが38.2%、ロペスオブラドルが31.7%、バスケスモタが26.0%、クアドリが2.3%をそれぞれ獲得した。また、大統領選挙と同日に実施された連邦上・下院議員選挙では、上院128議席中、PRIおよび緑の環境党が61議席、PAN38議席、PRDおよび諸派28議席、新同盟党1議席という配分となり、また下院500議席中、PRIおよび緑の環境党が241議席、PAN114議席、PRDおよび諸派135議席、新同盟党10議席となった。議会では過半数を制するに至らなかったものの、00年の民主化後初の大統領選挙で敗退して野党に転じていたPRIが12年ぶりについに政権復帰を果たした事実は強調されてよい。また、同年12月1日に、ペニャニエト新大統領の就任式が執り行われたが、新大統領は、さらなる成長促進と貧困問題の撲滅などに加え、前カルデロン政権下で急速に悪化した治安回復を最優先課題として挙げ、それに全力で取り組む姿勢を示した。