2010年8月、前ウリベ政権下で国防大臣としてゲリラ掃討に尽力したフアン・マヌエル・サントスがコロンビア大統領に就任した(任期は2014年までの4年)。基本的に経済・社会政策はウリベ政権からのものを踏襲し、海外投資の増大も幸いして、就任以降、比較的長期の経済的安定と成長を享受している。新自由主義的経済政策の断行だけでなく、長年コロンビアで最大の懸案事項とされた国内治安の改善(準軍事組織との和平や武装解除)におけるウリベ前大統領の豪腕が注目を集めてきたことから、それを継承したサントス政権の実績がかすみがちである。しかし、市場開放政策の更なる推進、および、周辺諸国との関係改善(隣国ベネズエラとの国交回復)や治安問題解決への努力(左派武装勢力コロンビア革命軍との停戦予備交渉)などの点において、サントス政権独自の取り組みと改善が見られる。ただし政治面では、とりわけ汚職問題が悪化しているとされ、またウリベ時代と比した「政治の穏健化」イメージにもかかわらず、政治的権利や市民的自由の許容度を測るフリーダム・ハウス指標でもこれといった改善は見られず「部分的自由」の地位から脱していない。