2010年5月8日、ラウラ・チンチジャ・ミランダがコスタリカ史上初の女性大統領として政権に就いた(任期は14年までの4年)。前期の第2次アリアス政権下で第一副大統領と法務大臣を兼務したこともあり、前政権下で本格的に着手された市場開放をさらに推進しつつも、「社会や家族の福利」のスローガンの下での社会問題の解決、そして国是とも言える環境保全と持続可能な発展を優先課題としている。また、これ以外の優先的な政策課題である治安問題に対しては総合的な警察力増強の必要性を訴え、また、10年10月にニカラグアとの国境であるサンファン川流域の領有権をめぐって国境紛争が再燃した際には非常に強い姿勢で国際司法裁判所に訴えるなど、治安および国防問題においては断固とした態度を示している。アリアス前大統領よりはキリスト教的な保守志向が強く、いかなる政教分離策にも強く反対し、同性カップルへの法的承認には理解を示しつつも同性婚には否定的であり、中絶禁止の原則は堅持されるべきと言明している。ただし10年5月に議会選挙において与党が過半数を割り、その後形成された新たな与党連立も不十分なことから、大統領にとって政権運営のかじ取りが困難になっており、さらに与党内の対立や汚職スキャンダルの続出などの政治的混乱が改革のペースを鈍らせている。