パラグアイでは、2012年6月の政変で大統領に昇格したフランコの任期満了に伴い、13年4月21日に総選挙が実施された。大統領選挙では、この国最大の伝統政党コロラド党の候補オラシオ・カルテスが勝利を収め、08年の大統領選でルゴに敗北して以降、野党の地位にあったこの政党が5年ぶりに権力の座に返り咲いた。同時に行われた議会選挙(上院45議席中19議席、下院80議席中44議席)でも、知事選挙(17県中12県)でも、コロラド党が圧勝し、人材・組織・資源において他党を圧倒するという本来の強さを見せつけた。18年まで5年の任期を務める新大統領カルテスは、銀行やたばこ会社を傘下に収める企業グループ(GRUPO CARTES)を率いる、パラグアイでも屈指の実業家の一人であり、企業経営者としての手腕が国家運営にどれほど生かされるのか注目されている。新政権は、国家財政の規律強化と民営化で外国企業の関心を喚起し、民間資本との協力で雇用創出やインフラ整備が進むよう様々な政策を打ち出しており、これを起爆剤とした年率7%の経済成長を目指している。新政権のこうした新自由主義的なスタンスは、対外通商関係にも表れている。つまり、ブラジルやアルゼンチンなど、12年のルゴ元大統領の追放劇を機に悪化した周辺諸国との関係改善に努めつつも、これらの国々と参加する南米南部共同市場(メルコスル)より、むしろ、親米かつ市場主義的なコロンビアやペルー、メキシコなど太平洋同盟諸国との関係強化を模索しているのである。