2014年3月に発足したチリの第2次バチェレ政権。10年に大統領を退任したバチェレは、13年の大統領選挙で、左派の政党連合(新多数派、大部分が旧コンセルタシオン)の大統領候補としてチリ政界に復帰した。この選挙で彼女は、第1回投票で47%、第2回の決選投票で62%と高い得票率で当選し、4年ぶりにピニェラ前大統領の右派連合から政権を奪還した。就任時の演説で彼女は、主要改革として、懸案の教育制度改革、その財源を捻出するための財政改革、そして、より民主的な選挙制度への変更などを挙げ、早急に具体的な取り組みを開始するとした。実際、大統領は主要改革の実現に向けた法案を矢継ぎ早に議会に提出する一方、6月の年次教書演説では、政権発足時に100日以内に実現すると公約した56の政策につき、その9割の政策が着手済みであると報告した。とくに政権が掲げる三大改革については、まず14年9月に、税制改革法案(法人税増税、環境税の新設など)が議会で成立し、教育改革の財政的な基盤が補強されることになった。教育制度改革、選挙制度改革についても、上院で議論の最中である(14年12月現在)。なお、外交政策については、ラテンアメリカ域内諸国との協力を基調としつつ、対ペルー・対ボリビア関係の改善が急務であり、また、とりわけ太平洋同盟の強化やTPP交渉において並々ならぬ意欲を見せている。