アメリカの財界誌「フォーブス」が毎年3月に発表する、世界の億万長者番付表で、プーチン前政権末期にはロシア関係者が増加傾向を示していた。2006年に34人のロシア人が含まれていた同番付表で、07年にはロシアは53人、08年には89人となった。アメリカにはかなわないものの、ドイツを抜いて世界第2位となった。ロシアの億万長者たちの主な特徴は、次の三つ。まず、若い年齢。世界の億万長者の平均年齢が62歳であるのに対し、ロシアの彼らは平均46歳。次に、彼らのほとんどが「オリガルヒ」または「新興財閥」と呼ばれる人々であること。すなわち、ソ連邦解体のどさくさ紛れに民営化されることとなった国有財産や国営企業を、政治家とのコネを利用して、破格の安値で入手して財をなした。第3に、彼らの業種が石油、ガス、鉄鋼、アルミニウム、金属の分野に集中していること。ところが、08年に発生した世界規模の金融危機によってロシアの億万長者の多くは被害を受け、「フォーブス」09年版に載ったのはわずか32人となった。彼らのほとんど全員が、ロシア政府に財政支援を求めた(→「ロシア版金融危機」)。危機が終息しはじめるとともに、ロシアのオリガルヒも息を吹き返し、「フォーブス」10年版では62人が掲載され、中国(64人)に次いで世界3位になった。