プーチン期に頻発している、ジャーナリスト、経済人、政治家を対象とする暗殺事件。そのほとんどがプロの殺し屋と契約して行われる殺人で、犯人が摘発されず迷宮入りとなっている。1998年、人権運動に熱心なガリーナ・スタロボイトバ下院議員が自宅アパート前で殺害された。2004年、アメリカの経済誌「フォーブス」モスクワ支局長ポール・フレブニコフ、06年9月、中央銀行のアンドレイ・コズロフ第1副総裁、10月には外国貿易銀行の南モスクワ支店長のアレクサンドル・プローヒンが殺害された。同月には、アンナ・ポリトコフスカヤも自宅アパートのエレベーター内で凶弾に倒れた。彼女は「ノーバヤ・ガゼータ」紙の評論員で、身体をはった勇敢なチェチェン報道とプーチン政権批判で知られ、「ロシアの失われた良心」とみなされ称賛を浴びていた。同年11月23日、リトビネンコも亡命先のロンドンで暗殺された(→「リトビネンコ暗殺」)。また、翌24日、エゴール・ガイダル元第1副首相も、訪問先のアイルランドで謎の中毒事件を経験し、早々に帰国した。09年7月、チェチェン共和国の人権活動家ナタリヤ・エステミロワが殺害され、メドベージェフ大統領も遺憾の意を表明した。しかし同年10月のポリトコフスカヤの3周忌の折には、「法的虚無主義との闘い」をスローガンに掲げるにもかかわらず同大統領は何らの行動も起こさず己のいかなる談話中でも言及しなかった。過去20年間にロシアでは300人のジャーナリストが殺害された。