メドベージェフ大統領が任期(2008~12年)中に行った四つの年次教書演説。プーチン前大統領時代の8年間においては5~6月に行われていたが、08年の第1回目の演説は11月5日に行われた。世界的な金融危機とアメリカ大統領選の動向を見きわめようとしたとの見方もなされている。が、そのことを含めてプーチン首相の見解との調整に時間を要したのだろう。それほど遅れるのなら、バラク・オバマの動きをもう少し慎重に見定めてから行ったほうが得策だったかもしれない。それにもかかわらず、オバマ当選から数時間後に行われ、カリーニングラード州に最新ミサイル「イスカンデル」を配備すると正式に発表、オバマ新大統領の出ばなをくじく、極端にロシア国内向けのものとなった。第2回目の教書演説は、09年11月12日に行われた。その特徴は、以下の通り。(1)アメリカをはじめ西側先進国に対する宥和姿勢を打ち出すとともに、(2)内政中心で対外関連分野に対しほとんど紙幅を割かなかったこと。国内分野では、直面中の金融危機からの脱却策として、経済の近代化、とりわけイノベーション(技術革新)の振興を唱えたこと。第3回目の教書演説は、10年11月30日に行われ、その特徴は以下の通り。(1)贈収賄に対する厳罰方針の表明、子ども優遇の少子化対策など、国内問題に大半の時間を割いた。(2)対北大西洋条約機構(NATO)との関係や世界貿易機関(WTO)加盟問題に関して柔軟な姿勢を示す一方で、アメリカに対しミサイル防衛(MD)などに関してさらなる歩み寄りを促した。第4回目の演説は、11年12月22日に行われた(→「メドベージェフ最後の教書演説」)。