メドベージェフ大統領が任期中、最後に行った年次教書演説(→「メドベージェフ大統領教書演説」)。2011年12月22日に行われ、約1時間半続いた。この時すでに、同大統領は次期大統領選に立候補せず、プーチン首相が当選した場合首相として勤務する意図を表明済みであった(→「プーチンの大統領復帰」)。その意味で、メドベージェフ大統領は事実上レイムダック化していた。しかも、同大統領が教書演説をするちょうど1週間前の12月15日に、次期大統領に復帰する意図を明らかにしたプーチン首相が、ロシア国民とのテレビライブ対話を行い、4時間にもわたって長広舌をふるった直後の演説になった。そのような諸事情のために、メドベージェフ大統領が同教書演説中で述べたことは、内外の注目を浴びるものとはならなかった。同演説は、まず4年間の任期中にメドベージェフ大統領が成しとげた業績を列挙した。たとえば、08~09年にロシアを直撃した経済危機の克服にほぼ成功したと語った。だがその一方で、その作業について多大な功績があったクドリン前財務相については、一言も言及しなかった(→「クドリンの罷免」)。また、同教書演説は、12月4日実施の下院選挙の不正(→「ロシア下院選挙(2011年)」)に対する抗議デモの直後に行われたために、タンデム政権指導部による若干の政治改革努力を示唆した。たとえば、地方首長を直接選挙制に戻すことや、政党登録の手続きを簡素化することなどである。だが、これらはほとんどプーチン首相によってすでに提案済みのことばかりであった。