2008年7月7~9日、北海道洞爺湖で開催された主要8カ国(G8)首脳会議。メドベージェフ・ロシア大統領にとり初めての正式の訪日となった。だが、ロシアの外交権限はプーチン首相が握り、必ずしもメドベージェフ大統領の手には委ねられていないことが明らかとなった。たとえばジンバブエのムガベ政権の暴力的圧政に対して経済的制裁を加えることに、同サミットでG8諸国は全員一致で合意した。ところがその後、国連安全保障理事会(安保理)で、ロシアは制裁反対の側に回った。また、ロシア大統領は、福田康夫首相(当時)との間で、「平和条約が存在しないことが日ロ関係の進展にとり障害となっている」ことに同意し、領土問題の解決を訴えた。が、帰国後、同大統領が読み上げた「新外交ドクトリン」(→「ロシア連邦の外交政策概念」)は、明らかにプーチン首相作成のものとみられ、そこには「(日ロ関係においては)過去から引き継いだ諸問題が障害となるべきではない」と、領土問題に対する消極的な姿勢が記されていた。