ウクライナ東部での戦闘停止をめざした当事者を含む国際合意文書。2014年6月以降、断続的に交渉を進めていたOSCE(欧州安全保障協力機構)、ウクライナ、ロシアによる3者協議を経て同年9月5日に署名。OSCEを代表して議長国スイス幹部外交官、クチマ元ウクライナ大統領、駐ウクライナ・ロシア大使の3者とともに、ウクライナからの自立をめざすドネツクおよびルガンスクの親ロシア派勢力(「人民共和国」)の代表者も署名。ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力双方の即時停戦、OSCEによる停戦監視、捕虜などの解放、ドネツク、ルガンスク両州の「人民共和国」に時限的な自治(「特別な地位」)を付与するウクライナ国内法の制定、両州の人道状況の改善など、12項目が列挙された。この合意に従い、ウクライナ議会は同年9月16日、早々に3年期限の「特別な地位」法を制定するなど一定の進展が見られた。その一方で、断続的な武力衝突や、ロシアが複数回にわたりウクライナ側に許可を得ないまま国境を越えて支援物資を輸送するなど、実質的な違反行為が見られた。(→「人民共和国(ウクライナ)」)