ロシアが主導する旧ソビエト連邦(ソ連)諸国を包括する地域統合のための国際制度。ソ連解体後から進行していた多国間の経済政策の調整・統合は、2000年代のプーチン政権期に「ユーラシア経済共同体」(EurAsES)、さらにはその中核的な国々であるロシア・ベラルーシ・カザフスタンによる「関税同盟/統一経済空間」(EEP)へと制度化された(11年12月)。そこでは欧州連合(EU)型の地域統合を意識した仕組みが作られていった。この時期、プーチンが政策構想として政治統合も視野に入れた「ユーラシア連合」を提唱したことにより、地域統合の機運が高まり、14年5月、前述3カ国によってEAEU条約が締結された。15年1月、さらにアルメニアも加わる形でEAEU発足。同年8月にはキルギス共和国も加盟した。17年1月、モルドバ大統領に就任して間もないドドンが同連合へのオブザーバー加盟に関心を表明するなど、さらなる加盟国拡大が予想される。また、旧ソ連圏外の国々との自由貿易協定(FTA)交渉も進んでおり、15年5月にはベトナムとの間でいち早く締結された。このように2010年代に目覚ましい制度的発展を見せた一方、カザフスタンが政治統合について否定的であるなど、統合深化に向けた加盟国間の足並みは必ずしもそろっていない。