2015年11月24日、シリア・トルコ国境付近上空を飛行していたロシア航空宇宙軍所属の戦闘機(Su-24M)が、トルコ軍F-16戦闘機に撃墜された事件。乗務員2人は撃墜後に死亡。トルコ側は、シリア国内へのロシア軍による空爆が開始されて以降(→「ロシアによるシリア紛争介入」)、10月上旬にも領空侵犯事案が発生していたことからロシア側に警告を行っていた。事件当日も、ロシア機に対して度重なる警告を行ったうえで撃墜措置に出たと説明。正当な措置であったと主張し、領空侵犯を否定するロシア側と全面的に見解が対立した。ロシアは事件発生直後からトルコ産品の輸入制限・禁止措置、トルコ人労働者のロシア国内での新規雇用禁止などの制裁を導入。また、トルコのエルドアン大統領の親族と「イスラム国」(IS)との繋がりを示唆するなど、反トルコ・キャンペーンを続けた。二国間関係の悪化が、地域安全保障情勢のみならず、トルコ国内経済やロシアとのパイプライン建設計画など、多方面に影響を及ぼすことを懸念し、トルコ政府は16年中、次第にロシアとの関係修復の方向に向かった。16年6月27日、ロシア政府は、本事件に対するトルコからの謝罪があったと発表し、二国間関係は正常化した。