2015年5月24日、ポーランド大統領選挙の決選投票が投開票され、開票の結果、愛国主義政党で最大野党の「法と正義」(→「民主左翼連合/法と正義」)から立候補した欧州議会議員のアンジェイ・ドゥダが、現職のブロニスワフ・コモロフスキ大統領を破って当選した。同国は04年にEU(欧州連合)に加盟し、堅調な経済を維持してきたが、一方で貧富の格差が拡大。低所得者層や年金生活者の批判票がドゥダに流れたと見られる。同年10月25日の総選挙でも、「法と正義」が下院で460議席中235議席、上院では100議席中61議席の単独過半数を獲得。同年11月16日にベアタ・シドゥウォ副党首が同国2人目の女性首相に就任し、1989年の民主化後、初めて一党単独政権が発足した。「法と正義」は選挙戦で難民・移民受け入れ反対を掲げたほか、欧州単一通貨ユーロの早期導入にも慎重姿勢を表明している。これに対し、エバ・コパチ前首相率いる「市民プラットフォーム」は、EUのドナルド・トゥスク大統領が同党出身ということもあり、EUが求めた難民受け入れを認めるなど、協調路線を取ったため惨敗した。一方新政権は、憲法裁判所の権限縮小や公共放送の国営化など、矢継ぎ早に強権的な政策を実施。これに対しEUは、基本原則に掲げる「法の支配」を脅かすものとして、同政権への警戒感を強めている。