エストニア議会は2016年10月3日、トーマス・イルベス大統領の任期満了に伴う次期大統領選出投票を行い、ケルスティ・カリユライドを選出。エストニア初の女性大統領となった。任期は5年。政治経験はないが1999年には当時のマルト・ラール首相の経済担当補佐官、2004~16年には欧州連合(EU)の欧州会計監査院委員を務めるなど、経済の専門家とされ、混迷する大統領選挙に業を煮やした議会によって担ぎ出された。エストニアでは、内政・外交の実権は首相にあり、大統領は象徴的な存在。政治の実権は16年11月に就任したユリ・ラタス首相にある。エストニアは1991年のソ連からの独立後、一貫して欧州復帰を目指し、2004年3月に北大西洋条約機構(NATO)、同年5月にEU加盟を果たしている。14年のウクライナ危機以降は特にNATOとの連携を強め、17年からは700~1200人規模のNATO部隊駐留が決定している。経済的にはIT立国を標榜し、新自由主義経済で急成長を遂げている。