ルーマニアの南部デベセル空軍基地で2016年5月12日、北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛(MD)システムの一環として、初めて地上配備型の迎撃ミサイルの運用が始まったこと。日本でも導入が決定した「イージス・アショア」と呼ばれるシステムで、イージス艦の迎撃機能を地上に配備するもの。アメリカの欧州MD配備計画は当初、ブッシュ前政権がポーランドに迎撃ミサイル基地を(→「ポーランドへのMD配備」)、チェコにレーダー基地を配備することを想定していたが、オバマ政権はこれを修正し、新たな防衛計画「欧州多段階応用アプローチ(EPAA)」を導入。運用も米軍でなくNATO主導に方針変更した。アメリカは、イランなどからの短・中距離ミサイル攻撃の阻止が目的と主張しているが、ロシアは自国の核戦略を無力化する意図と反発している。アメリカは、10年にはすでにポーランドに可動式の地対空迎撃ミサイル「パトリオット(MIM-104)」を配備しているが、18年までにはルーマニアと同様か、より高性能のイージス・アショアも配備する予定。