1949年発効の北大西洋条約(North Atlantic Treaty)に基づいて創設された軍事同盟機構。西欧12カ国を原加盟国とし、2011年1月現在の加盟国は28。NATOはソ連の侵略行為に対する集団防衛(上記条約第5条)を前提に冷戦時に創設された。したがって、冷戦後はまさにその存在意義をめぐって、根本的な再検討を迫られることになった。この結果、従来の集団防衛機能に加えて、バルカンのような欧州内の地域紛争への危機管理という新たな機能(非5条〔non-Article 5〕と規定)を担うことになった。さらに01年、9.11テロを契機に、21世紀の新しい脅威に対応すべく、指揮命令系統の簡素・効率化といった軍事態勢の変革方針を決定した。また実際にも、NATOは欧州外の活動を開始した。03年8月よりアフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)の指揮を引き受け、また、イラクに関しても04年以降、イラク治安部隊の訓練・教育を行ってきている。しかし、背後ではNATOをグローバルな活動に従事させたいアメリカと、欧州と旧ソ連地域までの平和支援活動にとどめたいフランスのような欧州加盟国との間の対立が存在している。