北大西洋条約機構(NATO)の任務のうち、北大西洋条約第5条で規定されている集団防衛以外の、危機管理任務のこと。冷戦終結後、新しい危険として認識されたのが、加盟国の領土周辺で起きた民族紛争の拡大や、それが地域の不安定化につながることであった。危機管理とは、こうした紛争の予防、紛争発生時の平和回復・維持の諸措置を指す。1999年の「同盟の戦略概念」が、初めてこれを集団防衛任務以外の非5条任務として、NATOの基本的な任務の一つと位置づけた。実際には、NATOはすでに92年夏から、危機管理行動を開始していたが、本格的な対応はバルカンの紛争への関与を通してのことである。危機管理には軍事的・非軍事的対処が含まれるが、このうち軍事的な対処は危機対応作戦(crisis response operation)と呼ばれ、予防展開から強制行動まで、広範な作戦を想定している。非5条任務にはコンセンサスによって、ケースバイケースで関与するとされ、当初想定された対象領域は欧州大西洋地域(欧州安全保障協力機構(OSCE)の加盟国の領域)であったが、現在、活動はアフガニスタンにも拡大されている。