東のソビエト連邦(ソ連)圏(当時)に対する集団防衛組織であった北大西洋条約機構(NATO)が、冷戦後に、旧東欧諸国や旧ソ連諸国を取り込んで加盟国を拡大していること。冷戦終了とともに、依然ロシアへの脅威感をもつ東欧諸国は、NATOへの早期加盟を渇望するようになった。ロシアはこれに強硬に反対したが、1997年、常設合同理事会(PJC)の創設などを条件に、ポーランド、ハンガリー、チェコの加盟に同意した。同3国は加盟交渉を経て、99年3月に正式加盟を果たしている。その後、2002年11月のプラハ首脳会合では、バルト三国、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ルーマニアの7カ国に対する加盟招請が決定され、これら諸国は04年3月に正式に加盟国となった。NATOは加盟希望国への「門戸開放政策」をとっており、バルカン諸国への拡大が続いている。09年4月には、アルバニアとクロアチアが正式加盟を果たした。またその前段階の「加盟行動計画(MAP)」には、マケドニアとモンテネグロの参加が許されている。08年、MAP対象国として、旧ソ連のウクライナとグルジアの名が挙がった。しかし、両国の将来的な加盟の可能性は認められたものの、ロシアの反発を恐れるドイツやフランスが慎重な態度をとり、MAP参加は棚上げされた。