1948年結成のブリュッセル条約機構を発展的に解消し、拡大して創設された組織(55年5月発効)。加盟国は西欧10カ国。加盟国の安全保障政策の調整を行ってきた。冷戦中、WEUの決定は何の拘束力ももたなかったが、92年2月に調印された欧州連合条約は、WEUを欧州連合(EU)の将来の共通防衛政策を検討・実施する中核組織と位置づけた。そこで、同年、WEUは自らの任務の内容を、(1)人道・救助任務、(2)平和維持任務、(3)平和創出を含む危機管理における戦闘任務、と規定した(総称してペータースブルク任務)。2000年12月、このWEUの危機管理機能は正式にEUに吸収されることになった。09年12月、リスボン条約発効とともに、WEUは歴史的使命を終えたとして、10年3月、常設理事会により解散が決定された。