リスボン条約において、欧州連合(EU)加盟国がみずからの領土への軍事侵略を受けた場合、他の加盟国が相互に支援することを決めた条項で、これによって加盟国の安全保障上の結束を強める姿勢が示された。しかし、領域防衛に関しては中立国や軍事的非同盟をとる北大西洋条約機構(NATO)非加盟の加盟国や、イギリスのようにNATOを重視する政策をとる国が懸念を表明してきた。そこで、この条項には、加盟国の特定の防衛政策(中立・非同盟)を害するものではない、またNATO加盟国としての義務と齟齬(そご)を生じない、との留保がつけられているため、条項は基本的に政治的意思表示にとどまっている。また共通安全保障・防衛政策(CSDP)とは別立てではあるが、加盟国がテロ攻撃の対象になるか、自然・人災の犠牲となった場合にEUおよび他の加盟国が軍事手段をも含む支援を提供することを決めた「結束条項」(solidarity clause)も盛り込まれた。