2010年11月ポルトガルの首都リスボンで開催されたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議で採択された共同宣言。主だった決定事項としては第1に、11年ぶりに同盟の戦略概念(NATO新戦略概念)が改訂されたことがあげられる。第2に、アフガニスタンへの関与として、11年初めから14年末までに、一部地方における安全保障上の完全な責任と指導をアフガニスタン側に移管するとしたが、国際治安支援部隊(ISAF)の撤退時期は明記しなかった。第3に、ロシアとの関係改善を強力に打ち出した。アフガニスタンに関してはISAF要員のロシア領内通過の了解を取り付け、ドラッグ対策などの協力を行うことが決められた。またミサイル防衛(MD)をめぐる協力が模索されることになった。同時に、グルジアをはじめとする旧ソ連地域への加盟国拡大の動きは大きく鈍化した。第4にヨーロッパの加盟国全域をカバーする、戦域MDシステムの構築が決定された。NATOの戦力として通常戦力、核、MD戦力の適切な組み合わせを維持する、としてMDを防衛体制の不可欠な要素と位置付けている。