欧州連合(EU)加盟諸国の選挙民による直接選挙で選出された議員によって構成される議会で、いわばヨーロッパ全体の国会である。1952年に欧州共同体(EC)の「集会」として設立され、62年に欧州議会となった。与えられた権限は、欧州理事会に対する拘束力のない助言と監督権、欧州委員会に対する不信任議決権に限定され、他のEU主要機関に比較すると権限行使力が弱いため、議員から権限強化を求める声が絶えない。第1回直接選挙は79年6月に実施されたが、それ以前は各加盟国の国会議員から、各政党の議席数に比例して議員が指名されていた。直接選挙制導入後は、各党派への投票による比例代表制をとっている。投票は各国一斉に実施され議員の任期は5年。総議席数は第1回選挙では41議席で、その後順次増加され、リスボン条約発効後、2014年の次回選挙までの過渡的措置として総議席数を766としていたが、14年の選挙以降751に削減された。国別議席配分は、ドイツ96議席、フランス74、イギリス、イタリアが各73、スペイン54、ポーランド51、ルーマニア32、オランダ26、ベルギー、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ポルトガルが各21、スウェーデン20、オーストリア18、ブルガリア17、デンマーク、スロバキア、フィンランドが各13、アイルランド、リトアニア、クロアチアが各11、ラトビア、スロベニアが各8、エストニア、キプロス、ルクセンブルク、マルタが各6、となっている。選出された議員は党のイデオロギー的傾向に沿い、欧州民主主義グループ、社会主義グループなどの会派に属するが、選出母体である国あるいは各国党派のためではなく、ヨーロッパ議員(欧州議会議員 MEP Member of the European Parliament)として超国家的活動を行うことが期待されている。