両国は冷戦期の「中立政策」をすでに放棄して、北大西洋条約機構(NATO)に接近しているが、最終的に加盟にまで至るのかが注目されている。両国の中立政策は、スイスやオーストリアのそれのように条約や憲法に基づくものではなく、国家の対外政策として実施されてきたものである。スウェーデンは「戦争が起きた場合の中立を目的とする、平時の非同盟」を原則としてきた。それに対し、フィンランドは戦時の経験から、ソビエト連邦(ソ連)の意向に配慮した条約を結んだうえでの「戦時の中立」政策をとっていた。冷戦終結とソ連邦崩壊により、両国は従来の中立政策を放棄し、平時における「軍事的非同盟」策を採用した。しかし、両国ともNATOとはPfP(平和のためのパートナーシップ)協定を締結し、演習を実施、またNATO主導の平和維持活動にも積極的に参加してきた。軍隊の装備、運営体系はNATO基準に改められてきている。2007年、スウェーデンは中道右派穏健党政権時に、一歩踏み込んで、災害時や有事に他国と「連帯」するという連帯宣言を発表した。11年のリビアでの空中戦にも加わった。しかし、両国とも国民の間には依然中立志向が強い。そうした中、14年にウクライナ危機が起こった。両国は緊急時にNATO軍の駐留を受け入れたり、NATOの軍事活動を支援することを定めたホスト・ネーション・サポート(HNS)に関する覚書に署名し、その歩をまた一歩前に進めている。