フランス革命記念日の2016年7月14日に、南仏の保養地ニースで起きたテロ事件。パリ祭(革命記念日)を祝う花火の打ち上げが終わった直後に発生、実行犯はニースの遊歩道プロムナード・デ・ザングレで家路に向かう人々の群れにおよそ2キロにわたって大型トラックを暴走させ、子どもを含む84人の死者と202人の負傷者が出た。実行犯はフランス居住権も持つチュニジア系で、トラック停車後警官との銃撃戦の末射殺されたが、イスラム過激派とのつながりは不明。数日後、チュニジア系を含む複数のイスラム教徒が、共犯容疑で逮捕された。15年11月に発生したパリ同時多発テロ事件から1年も経たない時期に起きた事件だけに、オランド政権(→「オランド政権の実績」)のテロ対策に批判が噴出し、社会党政権に対する国民の失望感が一気に高まる結果となった。同時に、国民の反イスラム感情が高まり、イスラム教徒の女性に対するいやがらせの防止という名目で、複数の自治体が計26カ所のビーチで女性教徒用の水着「ブルキニ」の着用禁止令を出したことから、人権問題を引き起こすこととなった。フランスの行政訴訟における最高裁に相当する国務院は、同年8月、ある自治体が出した禁止令を凍結したが、他の自治体は依然継続している。