ハッサン・アル・バンナが「イスラムのために奉仕するムスリムの同胞たち」を提唱し、1928年に創設。イスラムに基づく社会の実現を主張する政治団体。エジプトでは非合法だが最大の政治勢力。王政末期には大衆動員に成功し、52年、革命の実現に貢献したが、その後ナセル政権に弾圧され、活動家が海外に分散した。その影響で、シリアのムスリム同胞団(ロンドンに拠点)、ヨルダンのイスラム行動戦線(Islamic Action Front)、スーダンの民族イスラム戦線(NIF)、イスラエル占領下のハマスなどの政治組織が結成された。一方、エジプト国内では同組織の活動家サイード・クトゥブのイスラム過激思想がイスラム集団、ジハード団に受け継がれ、81年のサダト大統領暗殺、97年のルクソール事件が起きている。近年の世界的に高まっている宗教復興の動きの中で同胞団も勢力を拡大し、2005年11月のエジプト人民議会選挙では、同組織系の議員が454議席中88議席を獲得した。このことで、エジプト政府は同組織の取り締まりをいっそう強化している。