イスラムのシーア派の一派でヌサイリー派ともいう。イスラムとキリスト教、およびシリアの土俗宗教の伝統とを結びつけ、正統派イスラムと異なり、神が人間の姿になって現れることがあるなどの独特の教義をもつ。シーア派のイスマイル派から派生したとも考えられ、ムハンマド、アリー、ファーティム(ファーティマの男性形)、ハサン、フセインの5人を特に尊崇する。シリアのラタキアを中心に、シリア、レバノン、トルコ南西部の海岸などに信者が分布している。シリアでは、人口の約1割を占めており、第一次世界大戦後、フランスの委任統治下ではアラウィー自治区として特別な扱いを受けた。シリアの政府、軍の高級将校にアラウィー派の占める割合はきわめて大きく、バッシャール・アサド大統領をはじめ、バース党幹部には信徒が多い。