アラブ人を一つの民族ととらえた連帯運動。オスマン帝国やヨーロッパの植民地下で「分裂」している状態を克服してアラブの統一を成し遂げようとする思想。アラビア語とアラブ文化を共通土台とする。主要な流れとしてナセル主義、バース主義(バース党)、後に左傾化したアラブ民族運動(ANM)がある。1960年代には民族主義による共和派と君主制保守派がイエメン内戦で激突した。67年戦争の敗北後、両者は融和し、既存の国家を前提として「連携」を強化する「アラブの大義」が主流となった。現在の中東を見る上でも、アラブの人々を政治的、経済的に結びつける要素の一つとして分析されている。現在の汎アラブ民族主義の代表的政治団体としてアラブ連盟がある。