2009年7月にイラク北部のクルド自治地域(3県)で実施された自治政府議会(定数111)および政府議長の選挙。同選挙の有権者は約250万人で、24の政治勢力が議席を争った。その結果、自治政府議長にはクルド民主党(KDP)のバルザニ党首が69.5%を得票し再選された。議会はKDPとクルド愛国同盟(PUK)からなる「クルド同盟」が57%の支持を得て多数を占めたが、議席は改選前の78議席から55議席に減少した。一方、自治政府の統治システムの透明性を訴えた「変革リスト」が28議席を獲得し躍進した。クルド自治政府とイラク中央政府間には油田地帯のキルクークの帰属問題や憲法改正問題が存在している。クルド同盟は自治地域内の支持基盤の弱体化を挽回するため、マリキ政権との交渉で強硬姿勢に出る可能性もあり、その動向が今後のイラク内政安定化の最大のポイントとなる。