「イスラム国」(IS)は、イスラム教スンニ系の過激派組織。ISの前身は、「イラクとシャームのイスラム国」(ISIS)。同組織は、2003年のアメリカ軍のイラク侵攻後、イラク国内でのテロ活動を開始した。当初から人質の斬首映像をインターネットに載せる残虐な手法を使っている。その後、イラク内の他の過激派と衝突するようになり、次第に国内での支持を失い、11年以降、内戦が激化したシリアに活動の拠点を移した。13年4月には、シリア内戦が激化する中で、反政府組織として知られていた「ヌスラ戦線」が、自分たちの別名の組織であることを明らかにした。アルカイダ指導部は、ISISに対して、シリアでの活動を停止し、イラクでの活動に専念するよう指示したが、ISISは同指示を拒否。そのためアルカイダはISISを「破門」した。ISISは、その後も、シリア、イラク北部で勢力を拡大し、14年6月末、組織名を「イスラム国」(IS)に変更。それと同時に、カリフ制(政教一致の政治制度)の樹立を宣言し、指導者アブバクル・バグダディをカリフ(開祖ムハンマドの後継者)に推薦すると宣言。アメリカ人やイギリス人、さらに日本人二人を斬首する映像を次々にインターネットで公開し、その残虐性が世界の注目を集めた。アメリカは、欧米諸国や中東湾岸諸国らと対IS有志連合を組織し、同年8月からイラク北部、シリア北部の拠点への空爆を開始。「イスラム国」の勢いは、15年初めに至り、減少しつつある。