2014年夏に発生したイスラエル軍とガザの武装勢力ハマスとの大規模戦闘。イスラエル軍とハマスの戦闘は、12年11月の停戦合意後も散発的に継続していた。イスラエル軍は14年7月8日から本格的な空爆を開始。ハマスは射程の長いロケット弾で、テルアビブやエルサレムなど中部の都市を攻撃した。ハマスは、イスラエルとガザ境界地帯に掘った地下トンネルを使って、ガザに隣接する地域に侵攻。イスラエル軍は、同月17日、地下トンネルを破壊するため地上軍をガザ地区に侵攻させた。戦闘は約50日継続し、イスラエル人の死者は72人、パレスチナ人側の死者は2100人を超えた。破壊されたガザの住宅は国連の発表では約9万6000戸。同年8月26日、イスラエルとハマスは、エジプトの仲介案による無期限停戦に同意。ハマスは、停戦条件としてガザの経済封鎖の解除などを求めた。停戦から1カ月以内にカイロで停戦交渉を行うことが合意されたが、エジプトがガザとの境界(ラファ境界)を長期間閉鎖する事態となり、停戦交渉はその後行われていない。同年10月には、エジプトとノルウェー主催のもと、50カ国以上の国・機関が参加したガザ復興会議がカイロで開催され、約27億ドルの資金拠出が約束された。しかし、ガザを統治する予定のパレスチナ統一政府の作業が遅れ、ハマスによる実質統治が継続しているため、復興作業はほとんど進展していない。