2016年7月に発生した軍の一部によるクーデター未遂事件。7月15日夜、軍の一部が国会などを攻撃したが、翌16日には反乱は鎮圧された。戦闘では、反乱軍の兵士、政府側の警察官、市民など約300人が死亡し、負傷者は1400人を超えた。19日、軍は国家情報機関(MIT)がクーデター計画を事前に察知したため、一部の部隊が作戦を早めに開始したと発表している。事件直後から、トルコ政府は、反乱の首謀者はアメリカ在住のギュレン運動の指導者フェトフッラー・ギュレン師だと決めつけ、クーデターに実際に関与した将兵だけでなく、軍・司法・教育関係者などの大量逮捕を開始し、16年末までに約4万人の兵士・警察官を拘束した。また政府は、ギュレン系のメディアだけでなく、政府に批判的なメディアへの弾圧も強化した。そのためクーデター未遂よりも、トルコ政府が事件後に開始した反対勢力への弾圧に対する懸念のほうが増大した。トルコ政府は、クーデター鎮圧後の7月20日に非常事態(期間3カ月)を宣言し、10月と17年1月に同宣言の期間を延長している。