53の国々からなるアフリカ経済の第一の特徴は、アフリカ最大の工業国としてブラックアフリカの域内総生産の4割を占める南アフリカ共和国から、人口150万人で一人当たり所得が年200ドルにも満たないギニアビサウまで、地理的・歴史的背景の多様性を反映した産業構造、発展形態の多様性である。1982年に世界銀行が発表したバーグ報告に見られるように、国際金融機関は、この多様性を無視してアフリカ諸国経済の危機脱出策として経済と政治の自由化という一律一様のショック療法により構造調整を強行しようとしたが、いまだに明確な出口が見えない。この点を踏まえてあえて単純化するならば、アフリカ地域の経済的特質は、世界経済のグローバル化の波を地域産業と地域住民に利する形で活用することができず、膨大な非生産的サービス業を抱えつつ、木綿、コーヒー、カカオ豆、金、ダイヤモンドといった伝統的一次産品輸出収入と外国の援助に大きく依存していることや、大陸内の輸送網が未発達で域内交易を妨げてきたことなどが挙げられよう。世界の最貧国48カ国中7割近くがこの地域に集中している。